日本企業はバングラデシュを一番の投資先として評価(ジェトロ調べ)
最新の調査によると、低賃金、安いエネルギー価格、そして安い生産コストのことから、昨年バングラデシュを日本企業にとって一番の投資先と評価した。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は、アジアとオセアニアの20ヶ国以上で行った調査によると、バングラデシュは生産及び非生産部門の両方で、最も収益性のある投資先であることが分かった。
調査によると、バングラデシュの人件費は中国の4分の1、インドの半分である。安いエネルギー価格と外国投資に配慮したビジネス環境は、バングラデシュでのソーシング、生産、製造にさらなる価値を加える。
ジェトロの調査『アジアとオセアニアの日本企業の状況』によると、バングラデシュの生産コストは日本に比べて半分以下であることから、同国が日本にとって魅力的な投資先であると書かれている。 同国の生産コストは、中国の82%、ベトナムの73%とインドの80%である。
この調査によると、バングラデシュの景況感(景気動向指数)は最も高い63.3ポイントで評価されているものの、現地の一部日本企業の営業利益に関しては引き続き苦戦しているとある。
日本企業の景況感が2016年に改善すると予想されている。JETROの調査によると、44.8%の企業は、営業利益の増加を予想しており、景気の低迷を予期するものは、2015年の見解から13.3%までに減少した。発展の理由として、「地方市場の販売増加」は一番にランクインした。
バングラデシュ、カンボジア並びにインドのような新興諸国で、景気動向指標(DI)-営業利益の増加を報告している事業から、昨年に比べて減少した報告している事業を差し引いた割合-が、60ポイントを越えたことは景況感の著しい上昇を示している。
2015年10月から11月の間に実施された
JETROの年次調査では、9,590社以上の日本企業の最高経営責任者にインタビューを行い、67.4%の日本企業が今後の事業拡大先としてバングラデシュを第5位と評価していることが分かった。
拡大の理由として、高度成長の可能性、コスト削減、生産・流通ネットワーク、労働力確保の容易さが挙がった。
JETROによると、約230の日本企業が2億5千万ドルを輸出加工地区に投資している。
日本企業の最高経営責任者は、バングラデシュの従業員、競合他社、現地調達、そして品質管理に関連する問題と数多く直面し、不安定な状況にあると言える。
57%以上の経営者は、バングラデシュの従業員の質は基準に達していないと考えており、半数の経営者が品質管理をより高めたいと答えた。56.3%の経営者は通関手続きが複雑であると答えているが、70.6%は現地調達が拡大に向けて一番大きな問題であると回答している。
調査は、バングラデシュは中国、日本等から原料を輸入しなければならず、海による東南アジア諸国との非接続性および、サポートや後方連関産業の未発達さを示している。
競争力強化アドバイザー、元ウォール街のプロフェッショナルでもあるカウサー・ブイヤン氏は、現在の市場状況を日本企業にとって好機と捉えている。例えば、250億ユーロ規模のバングラデシュの繊維縫製業界の後方連関産業、サプライチェーン等のサポートの提供をするには絶好の機会と言える。現状、これらはほとんど中国、インド、パキスタン、トルコ、韓国、イタリア、そしてドイツに取られており、日本企業は今まであまり重要な役割は担って来なかった。
需要のある、糸、生地、染料、化学薬品、酵素、機械、予備部品、エネルギー及び資源効率に纏わる技術、そして人材開発のノウハウにおいて日本企業は上手く参入できる、とブイヤン氏は考える。
日々変わりゆくグローバル競争下において、投資利益率の最適化、または事業の健全な収益性は、日本企業が未だ学びきれていない、もしくは受け入れられていない、リソースの正しい割り当てと市場競争力に他ならない。日本企業は、ただ最良の商品を作るのではなく、品質とコストの適正バランスを考え、そしてそれらを世界市場で競合他社と戦いながら売り込んでいくべき、とブイヤン氏は述べる。
同様にJETROは、日本企業の運用コストを削減できるように、より適したビジネス環境の構築を推奨している。